骨と首の話 その3/hon
めてすき間を作り、彼が外を見られるように視界を確保していた。
私の立っていたすぐそばのベンチには、制服を着た男子学生が座っており、じっと前かがみになって本を読んでいた。
すっかり人の流れが途絶えたところで、ゆっくりと私は階段を降り始めた。身体の痛みのために、がに股になってエイリアンのように不恰好な姿勢をとり、絶対に転んだりしないよう一歩一歩確実に降りていくのだが、なんとも情けない気持ちを味わっていた。
「さあ、ここからどう進むのか指示してくださいよ」と、駅を出たところで私は彼に言った。
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