オフィス/まりも
そこは夜のオフィス
真っ暗で 誰もいなくて
机の上の書類の束には
見覚えのない文字が
所狭しと並んでいた
月も沈んで静寂が訪れた
肩に手を置かれて
振り返ると あなただった
見晴らしのいい
大きな窓の前で
肘掛椅子を勧められた
紙コップに入った
あたたかいココア
吸い込まれそうな闇を
二人で見つめていたら
あなたが立ち上がって窓の向こうに歩き出した
そっちに道はないよ
追いかけようとするあたしを制して
まっすぐ よろけることもなく
あなたは安定した足取りで
進んでいった
見えなくなってしまった
泣きつかれて気づいたらま
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