足裏の顔 /
服部 剛
早朝、床に坐り
瞳を閉じるマザーは
今日の路上で出逢う飢えた人と
お互いの間にうまれる
あの光で
幸福につつまれるように
無数の皺が刻まれた
両手を合わせる
身を包む白い服からはだけ
こちらを向いた皺の足裏にできていた
二つの固いタコをじっと見たら
二つの笑う目になった
土に汚れた足裏は
病の村を歩く重荷に顔を歪めながらも
柔和なムンクの叫びになって
丸い口の闇から
無言のしゃぼんを
こちらに放つ
戻る
編
削
Point
(6)