足裏の顔 /服部 剛
 
早朝、床に坐り 
瞳を閉じるマザーは 
今日の路上で出逢う飢えた人と 
お互いの間にうまれる 
あの光で 
幸福につつまれるように 
無数の皺が刻まれた 
両手を合わせる 

身を包む白い服からはだけ 
こちらを向いた皺の足裏にできていた
二つの固いタコをじっと見たら 
二つの笑う目になった 

土に汚れた足裏は 
病の村を歩く重荷に顔を歪めながらも 
柔和なムンクの叫びになって 
丸い口の闇から 
無言のしゃぼんを 
こちらに放つ 




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