地球がくれた伝説/木葉 揺
とってめかしいリンパの流れに、
ストップウォッチは疾走する。負け
ないようにCD―Rを回し投げ続け
たら、白樺の木を切り倒す結果にな
った。カミナリから我が家を守り続
けていた白樺の木。
「恩を仇で返す」小さく呟いてガッ
ツ。やかんが叫び踊るたびに冷水を
かけて黙らせる毎日、ジューッとい
う音に和んでいた白樺は口惜しそう
に根っこが動いている。「もう十分
・・・」そんな哀愁を漂わせ、やが
て切り株ごとくねくね旅立っていっ
た。
想像以上にCD―Rはやんちゃで
オランダまで行って、アムステルダ
ムを占拠しようとしたらしい。場所
を間違えやがった。同じオレンジ
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