ち/恋月 ぴの
生きている限り湧き上がってくる
もう駄目だと諦めかけた思いを
励ますかのように
五体のひとつひとつが
出口を求めようとさざめきだすのを知覚し
もうひとつの確かな意思
本能だとか呼ばれているもの
明日があることを信じて疑わぬもの
人間
ひとのあいだに存在するのは
英知とか理性と呼ばれているものではなく
自らの時を刻む
苦しくとも
悲しくとも
刻々と刻む自らの時
生きるなんてたいした事じゃない
そこだからこそ
自らを信じて
明日があることを信じて
これからも生きる
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