日々と手のひら/木立 悟
考えが考えになる前の
弱くふわりとした場所の
まるい柔毛(にこげ)に浮かぶまぶしさ
手のひらにのる
手のひらを吸う
ふたつに分かれた音のひとつが
もうひとつの背を見つめている
さみしげな色が道をすぎる
さみしげな標に触れてゆく
細く圧する力でした
何もないはざまの
押し花のようでした
かすかな響きに添えられた
指の重さのようでした
あなたはついに
あなたではないのでした
ずっと苦しんでいたころに見た
極彩色の夢に似て
あなたはあなたのほんとうの姿で
遠去かってゆくのでした
あなたのほんとうのほんとうに
触れ
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