宣誓。 荒削りだと承知しているが故に僕はペーパーナイフを暫し、青空の隅に放置する。/空雪
いとしい、}
青年は、猫の背中を撫ぜた。青年の短髪と、猫のぱさついた毛並みと、彼らがぼんやり見つめる夜空は、同系の色をしていた。
青年の左目は星を見ていた。右目には、やはり漆黒の眼帯があった。
月が隠れた夜だった。
星明かりと橙色の街灯に照らされた赤煉瓦の屋根の上、青年はじっと、泣こうとしていた。
明日の朝食はプレーンオムレツとクラッカーにしよう。クラッカーにはマーマレードをのせて。
そう考えると何故か自分が幸せな気がして(そういえば貰い物の紅茶もあった!)、青年はまた、泣かなかった。
だから
すこしだけ
さようなら。
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