「良い夢を、おやすみ。」/快晴
 
もいない公園で煙草を吸えば
吐き出した煙に月が咳き込むような
そんな幻聴を耳にする

酔っ払ったサラリーマンが
坂道をフラフラと下っていくのが見える
滑り台を思い切り蹴り付けると
その音にサラリーマンが驚いて
覚束ない足取りで走り去る

そのままベンチに横になり
無口な月と睨み合う
星の数を数えては
一つ一つにデタラメに女の名前を付ければ
それらの全てに思い出があるように思えてくる

最後の煙草に火を点けると
どこかで聞いたような着信音が響き
もう一度滑り台を思い切り蹴り付ける
お前はまだ夢の中だろう

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