ヒヨコ/たけ いたけ
彼女は
真っ白なカーテンをヒラヒラさせながら
マルガリータの夢と
サンドイッチ伯爵の伝記と
ハイヒールを眺めながら
俺を白目の縁でやっつける
眠気がやってきて
窓辺の小鳥を呼びつけて
一気に酒を煽る
翻る幻想を幻滅させ
俺は正気のまま
雲を掴む努力を始める
食べるための嗅覚を尖らせ
曖昧な言葉ばかり並べる
食卓に黄色の刃を突き刺し
羽を広げる
もういい加減にして
もう少しで見える
もうどうしようもないな
リンゴとハチミツって夢があるよね
リンゴの種を思い浮かべる
リンゴを一齧りする快感
別にいいじゃない何したって
別にいいわけじゃない捨ててもいいんだ
別に別にって一体なんなんだか
本を積み上げながら
裸で逆立ちする女
雁字搦めの蛇
横流しの視線に狂った目
縮こまる胃腸に点滴
滴る時間
俺の存在は空白
逆立ちのビルディング
目を見張る世界
ああ窪みだ
寝静まった部屋で真っ赤な雨
血の臭いが鼻を突く
豚が
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