原動/
木屋 亞万
産声に感情はなく
ないままに鳴く美しさ
呼吸をするように等間隔で
真っ赤な顔を丸めながら
始めて読む物語は
温度も匂いもないまま
時と共に流れ去って
脳の隙間に染みていく
一目見たときに
心臓が急激に目覚めた
酸素だらけの赤い血は
毒素を秘めて頬を流れる
命がけで守るべく
半分自分を育んでいく
いつか押された背中の
手の気遣いに気付きながら
いつ終わっても構わなくなって
額縁からはみ出していく絵画
青春の青暗さを越えて
酸いも甘いも暖色の秋
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