九月にたなびく/
たもつ
木陰で体温の
呼吸する
と、内と外とが入れ替わり
境目に懐かしい
わたしのかたまりがある
施設の人と集配車の運転手が
簡単な口論をしている
近くのベンチで関係のない
小柄な男性が
誰かと待ち合わせをしている
すでに数年待ち続け
もう誰も
その男性を待ったりはしない
融けかかり
たなびき
季節はずれの陽炎のように
それでも背中が見えれば
人とわかる
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