ずっと何かに埋まっている/石田 圭太
 
幼い子の背をひらくと

痩せた背骨の喉奥を渉る
薄ぼんやりとした虹が、


そして

拾うように弾き上げると
それからは早かった。


飛んでいく静かな底の
透明な成長が、


叩き割ってまた掲げると
双子のまま走り去った。





昨日、
世界的な雨が降り
溝という溝からそれは溢れ出し
今や世界はひとつの大湖だ
そして波立つ私らは、
手を足を取り合って
拡がっていく光の輪
柔らかな泳法で泳ぐ
天国の背に生えた音楽は
新しい魚としての幸福だ
楽譜はない
だから今
音をもう、躊躇わなくていい


やがて幼い円になる

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