ホーム/Tsu-Yo
 


三番線のホームを獣が通過する
知らなかったなあ
いつの間にか世界は
こんにも美しくなっちまったんだ

二番線のホームに到着した
足の長い甲殻類の殻から
沢山の人間が這いずり出してくる
美しいよ、やっぱり美しい

目的地へ辿り着こうとすると
人はいつも同じ場所で
正確に間違える
どれだけ言葉を尽くしてみても
すべての意味が轢死する

一番線のホームからは目の見えない
蝙蝠の群れが発車していく
速度とは何物にも替え難い
美しさなのだと誰かが言っていた

俺たちの言葉が通じない場所に
無数の死体が転がっている
意味もなく
意味もなく
意味もなく
美しく
レールの先に光もなく



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