月曜日の住人たち/結城 森士
 

信号機の赤のような淡い円形の光が
交差点の向こう側で青に切り替わる
同時に色を持たないエスティマが
目の前を、静かに通り過ぎていく
それを合図に、実体の無い影達が
一斉に午後の街を徘徊しはじめる

ゆっくりと徐行してきたタクシーを何気なく拾うと
運転手は行く先も聞かずに発車させた
一体どういうつもりなのだろう
ぼんやりと嫌な予感がしたので
一言告げてから降りようとした
「すみません、降ろしてください」
すると運転手は言った
「月曜日、が過ぎ去って久しいですね」
何もかも、言葉になっていない



ふと
目を開けて
手を伸ばし
明かりを点けて

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