逆巻く酒巻/佐々宝砂
 
は言う、どうすればいいのだ、どうしたら逆巻くのだ。酒巻はなんだか腹が立ってきた。わけのわからない命令を下しやがって、こんなわけのわからない詩に登場させやがって、そうだ、わかったぞ、俺は作者に逆巻くのだ! 酒巻は息巻き、うん、と力を込めて詩から飛び出して作者(わたし)の胸を包丁で突き刺そうとした。包丁は作者(わたし)の家にあったものである。作者(わたし)は家庭の主婦であり、台所には当たり前のように包丁が常備されている。お驚きおびえながら作者(わたし)は言い逃れをした。私は女神ではないし、逆巻けなんて命令もしてなーい! 命令をしたのはね、命令をしたのはね、

逆巻きなさい、酒巻よ

ほら、あいつだよ! 作者(わたし)の声とは違うでしょう? 別人でしょう? あいつのとこまで行って逆巻いてきなさいよ、それでこそあんたは逆巻く酒巻。そこで酒巻は、



(タイトル提供・ハスキーボイスな芳賀梨花子)
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