生態系の封印/狩心
人と人
国と国との摩擦を秘めた
力を擁護した悪魔の邪悪を
小さな体で受け止めた
天使のような女が一人
光の少女から
大地の母へと
変わり始めた朝に
血みどろになった指先を
緑の子宮口に入れて
一つの循環としてのリングを
完成させた
そのリングの中で
羽の生えた悪魔が
「権力…」という言葉を残し
小さく燃えて
灰になった
その時の音と匂いを
覚えている子供が
黄色い長靴を履いて
雨の中で透明のレインコート
母も父も
大地の肉になった
「希望…」という言葉を呟いた子供が
密林と砂漠
雪の振る氷の張った山頂と
光の届かない深海で
銃撃戦の中を
風の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)