ノート、テクノ、デジタルカメラ/月見里司
フィルムケースくらい
すっかり死語になってしまった
大きさで
文庫本のページがめくれる
広いままの建設予定地で
長い時間をかけてファインダーを覗いていた
空ではなく
空中が写り込むのだという事を
なにげなく信じていた
点きかけの電灯は規則的に点滅する
猫は隅で
少しだけ迷惑そうな顔をして座っている
立ち上がりアルゴンランプを叩き割れば
空の1%に還る
アルゴンの分子量と
その大気における割合を覚えている人は
恐らくとても少ない
//2007年9月15日
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