淡き明日に月が昇りて/プル式
いたように思う
パサリ
誰かが何かを喋っているが
声が届く気配が無い
声を知っている気もするし
もしかしたら随分と昔に見た
無声映画か何かなのかも知れない
ただ泣き出さんばかりに訴える顔が
何を伝えたいのかは判らなかった
パサリ
月夜と言うには余りに明るく
昼間と言うには余りに暗い
宇宙をすかして見たらばこう見えるだろう
そういう月空の下で誰かが本を読んでいる
それはもしかしたら
その誰かの記憶なのかも知れないし
その誰かは僕なのかも知れない
パサリ
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