真夏の満月/有邑空玖
「じゃあまたね」
って手を振って
どんどん遠ざかっていく君の笑顔
外燈がとぎれとぎれで
すぐに見えなくなってしまう
もう会えなくなるなあ。
一緒に歩いた海辺も
茅蜩(ひぐらし)を探したあの山も
忘れてしまうのかなあ。
知らない街で
知らない顔で
君は誰に微笑むんだろ?
ずっとその手を取りたいと思っていただけなんだよ。
言葉だけじゃ伝わらないなあ。
約束はいつだって破られるものと決まってるから
しないよ
今度会う時はさ、なんて
莫迦莫迦しいよ
君が居なくても生きていけるだろ
自信はないけど
たぶんきっと
君は誰かを選
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)