収穫の秋/吉田ぐんじょう
 

どこかへ連れていかれてしまう

わたしもあんな風にして
ここへ連れてこられたんだろうか

道端では
とりこぼされた子供たちが駆け回り
その後ろでは子供の残骸が
用水路に流されてゆくのが見える

用水路に捨てられた子供の残骸は
すうっと溶けて消えてしまう

秋の空気は
何故か焚火のにおいがする



やがて夜になると
すっかりきれいに刈られた田んぼに
静寂が訪れる

コンバインも軽トラックも
おうちの車庫にしまわれた

また春になったら
田んぼには水が張られ
子供の苗が植えられるのだ

用水路は真っ黒い水をたたえて
月光の下を流れてゆく

その水面からは時々ぱしゃっと
子供の腕が突き出されるそうだ



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