いいから酔えよ、チナスキー/楢山孝介
に殴られたり
競馬場で狂ったようにペンを走らせたりしていた
俺だよな
俺なんだよなこれ
どうしようもないやつだよな
チナスキーは昔の自分の姿に呆れた
もう戻るものか
酒など飲むものか
そう決意を新たにした
けれども新郎とその仲間たちは
いいから飲めよと
今日だけでも昔に戻って
くだらないことや
どうでもいいことを
わめき立ててくれよ
おまえの言葉はそれだけで
詩になってくれるからさ
などと言ってチナスキーに迫った
やめたんだよ酒
あと詩も
チナスキーは断りながらも
壜を傾けて
ウィスキーを口の中に迎え入れた
それから詩が始まった
やめたんだよ酒
あと詩も……
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