燃焼/木屋 亞万
 
私は燃え上がる
とてつもないエネルギーを
言葉にして吐き出すこと
言葉を読み耽ることに向けていた

私の燃焼期の思い出
燃えるような心を手に入れた
あの日から高まってしまった
鋭く研ぎ澄まされた感覚器

私の幼少期の記憶は
大きく高すぎる世界に戸惑う
心臓の小さな体と手足
世界はいつでも大きかった

私は年少期に失った
大きな世界を取り戻すことに
ついに成功したのだ
それは全く予期せぬ

一人の女性の感情と涙を
顔面で受け止めた後
さ迷い歩いた街の
まとわりつくけだるさ

突き抜けた電車の夕日
高架の下をくぐり
河原から海へ出た時
弱っても腐っても太陽は太陽

私は海に秘密を叫び
その甘さを少し薄めて
イチゴ蜜をオレンジに
甘酸っぱさを転がしながら

唇から世界は割れて
空が逆さ金魚鉢であること
たゆたう雲の溶媒は何か
そっと知ることが出来た

少し涼しくなって
いや肌寒くなって
叫ぶ言葉を一つ飲み込んで
大きくなった心臓で
私は抱きしめに行く
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