.com/構造
テキストサイトの盛衰について
ぼくたちは耳目を持たなかった
チューリヒやマンチェスターの
現代美術に眼をうばわれながら
シンプルなHTMLでえがかれた
スタイルシートもなく
SWFファイル形式もない
文字指定2を流用して描かれただけの
かの文字ボタンたちの沈黙に
ひとつの哀しさもおぼえることがなく
IEのヴァージョンアップによって
お仕着せの人間性が追加されただけの
かのURLについて惹かれることもなく
ノスタルジーすら
いまだ感じることはないのなら
手を伸ばせばとどきそうな
というだけのことについて
どうでもよいというならば
延々とみたことがない
せかいの問題だとか
バスクの男たちの醇香についてでも
延々騙ればいいだろう
ピレネーのむこうに浮かぶ夕陽から
網膜にささりつづける光線と
こまかい眼球のひびわれに
残りつづける飛蚊症について
きっと太陽の裏側に
なにがあるかまで見据えているんだろう
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