散文詩/はらだまさる
いつも秋を待ってる 古美術屋で買った達磨の 眼を覗いて 祖母の命日が 近づいてるのを思い出す 部屋で レゲエ・ミュージックを流していると その音楽は嫌い、というの その意味が 少しわかる気がした 手のひらの上で「人間の祈りは、つまり奇跡を祈る心だ。」と、ツルゲーネフは謂う 私たち 人が燃える匂いも知らず ニューヨークの散文さえ読んだことないのよ 達磨が 眼を合わさないの もしあなたは誰、と聴かれたら 誰でもない、って答えてやる 散文なんて ほんとうは大嫌い だけど 帰らなきゃいけない ほんの少しでも 笑顔のある場所へ 通り雨の、憎しみのその向こうへ
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