散文詩/はらだまさる
 
私たち 午後には散文を開いてエレクトロニカにする どうしても、というなら黒人霊歌でもいいわ だけど、こうして眼を閉じるわね 表通りのニレの木に(嗚呼、もうこんな時間)絹のつやをした鴉が居る 美しい眼をしてるの ねぇ何が見える? 熱いマテ茶を、飲みながら こうしてキーボードを弾いてると ふと思うの 散文みたいな旅に出たいわ、エルメスの鞄ひとつで ウェダはきっと 今頃キッスをしてる 彼女たち、思っていたよりも幸せみたいね 仕事を辞めて 九月の札幌に行ったことがある あの日、家具屋の二階のテレビで ちょうど いまくらいの時間に 震える世界に ただ怯えていた ビリー・ホリディのレコード・ジャケットが いつ
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