マウンテン僕/プテラノドン
 
授業の間、生徒がノートをとりつづけるだけの
つまらない教室の窓の向こうにS山があって
半世紀かけて、削りとったそこには
これまたつまらない工場と採掘現場の跡が残る

どんよりとした曇り空。ワイヤーに縛られた丸太の山
ヘルメットを被る現場監督が靴底で煙草をもみ消す
ラジオをつけっぱなしに、チェーンソーを操る男が
丸太を様々な形に刻む芸を見せる

悲鳴のようなうねりが響く森の中
摩擦熱による焦げた煙のにおい―その痕跡にいくらか驚かせられる
オーケー。それから男は、真似してみろといわんばかりに
一番ちゃちなチェーンソーを手渡す

おが屑まみれの丸太にどっかりと腰をおろし

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