東京/草野春心
 
  東京は寂しい街ねと あなたは笑う
  その横で繰り返し相槌を打つ 機械が僕

(ここは陸橋の下の小さな公園で)
(ふたりだけで)




  遠い日の忘れ物に あなたは愛おしそうに指をすべらす
  今この瞬間の重大さすら 僕は測りかねている

(過去も今も未来も……ビル風に砕かれ)
(気づかないうちに……アスファルトの一部になる)




  あなたが目を閉じると そこから居なくなるのでしょう
  僕は変わらずここに居る あらゆる距離を一度に天秤にかけて

{引用=(誰も逃げおおせることは出来ない……都市から)
(そこに潜む圧倒的多数の悪
[次のページ]
戻る   Point(1)