骨と首の話/hon
 
 普通のひとは自分の骨のことなど普段あまり意識しないものだが、私はこうして関節が軋るようになったので、自分の骨のことばかり意識するようになった。
 動かすたびにギイギイと大きな音をたてているようなイヤな感触であり、実際には音などでていないだろうけど、曲げたり伸ばしたりするたびにいちいち気にかかる。立ったり座ったりの動作が常に緩慢な苦痛を伴なう。それが全身のあらゆる関節におよぶのである。
 機械ならば油を差したりないような状態なのであろうが、私は人間なので関節に油を差すというわけにいかない。
 しだいに私の日常の所作はぎこちないものになっていった。
「あのう、動き……ヘンですよ?」
 と、
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