誰も居ない、一日の終わりに/狩心
俺の周りの空気が
水滴になった時
地獄の響き、天国の夢、姫百合の塔
街灯に
スラムダンクしかけて
警官に
止められました
「夜の道を一人で歩くのは危ないから」
「でも家に帰る時、いつも一人ですから」
近くの畑で
小さな野菜を見つけました
それを家に持ち帰ると
この世界に自分が居ない気がして
テレビもパソコンも
捨てました
家を出て
無人の駅に向かいます
灯りのついた家と、歩道橋と、荷物のない列車と
僕が死ぬまで開けられる事がないマンホール
今日、そのマンホールを開けてみると
下水が流れていて
ひよこの声が
響いていました
手を突っ込んでみたのだ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)