うどん二百円から/あおば
 

寒い夜も
即席麺に湯をかけて
虚ろな目をして啜るのだ

せめて
烏賊そーめん
食いたいと
金隠しの上の
灰皿に押し込まれた
誰かの指紋が刻まれた
カチカチのフーセンガム
ピンクのチラシも懐かしい
電話ボックス前の縦列

その10年後
山からカラスが飛んできて
都庁の高層ビルにぶつかって
気絶して
墜落
三面記事にも載らない後始末は
清掃員のパートの奥様にしてもらった。


<まとめ>

山から
カラスが
饂飩を食べに飛んで来て
どうしても果たせなかった

衝突して意識を失う最後の瞬間には
美しい虹を見たかもしれません。






過去作
初出
「丑屋T子の北極ツアー」の
→【詩人さんに贈る 書けないお題20】



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