街/
草野春心
君のことを考えた
深緑に閉じた公園で
蝉時雨を頭から浴びて
僕のことを考えた
灰色と虹色の街の中
唄いながら歩きながら
僕は街に「好き」と言って
街も僕を好きと笑う
僕は君に「好き」と言って
僕と街 殺す者と生み出す者
僕と君 愛する者と佇む者
心と心
君のことを考えた
頭が痛くなるまで煙草を吸って
文庫本も読みはじめずに
君のことを考えた
ただ、会いにゆけたらと
街は温かくそして哀しい
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