冬のミラノ/
智鶴
彩る街の中を、寄り添う船が
あの銀色の平原を
滑るように進んでいった
街の中では
音もなくすれ違う人波、灰色の星
それでも
君は華やいでいると言うのだろうか
もう遠い船は
ただ息をしていただけで
何も求めてなどいなかったのに
誰かが気付き、落とした涙が
街の彩りを消し
全てを知っている月は
静かに雪を降らせた
冷たい吐息を照らす明かりが
何もかもを照らしてくれればいい
冷たい夜には涙も落ちない
無情なほど寒い
冬のミラノで
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