花埋み(石)/宮市菜央
あたしは車を降りた。ここまであたしを連れてきてくれたあのひとも。あのひともあたしも、黙って川の流れに向かって歩き出した。
川原には石が延々と転がっている。これが全部星なら、ああでも星は実際にもっといっぱいこの上で瞬いているんだ今も、今は昼だから見えないけれど、足元の石が全部瞬く星のように見えてふらりと足が緩んで、石の上にごろりと吸い込まれて寝転がった。
薄曇りの空は真っ白でどこまでもつかみどころがなくて、遠く堤防に立ち並ぶ並木の稜線をぼんやりと追いかけるばかり。あのひとはまるであたしがどこにもいないみたいに背中を向けて、遠いところで何かを担いでいるみたい。あそこには何があるのかしら?あの
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