八月、愛するものにもどってはならない/んなこたーない
んだはずなのに、どんなストーリーだったのかさっぱり思い出せない。
読んだことは覚えていても、何を読んだのか覚えていないようでは、時間の浪費としか言いようがない。
ひとの顔も覚えられない。だいたい、遊び場で一、二回会っただけのような底の浅い付き合いの人物など、
覚えていられる方が不思議だ。名前に至ってはハナから覚える気がない。
その場かぎり、というのが、遊びの流儀ではないのだろうか。
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何度挑戦を試みても、最初の数ページで投げ出してしまう本がある。
ぼくの場合、中上健次「枯木灘」、カール・バルト「ロマ書講解」、埴谷雄高「死霊」、「韓非子」などがそれにあたる。
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