八月、愛するものにもどってはならない/んなこたーない
はいちいち逡巡して、決定を下すのをためらってしまう。
これはなにもぼくが特別に特異な生活を送っているからというわけではなくて、
そもそもユニークでない生活など存在しないからである。
「類例の増加は、寧ろ一事件の比類の無さをいよいよ確かめさせるに過ぎまい(小林秀雄)」
しかし、ぼくは大体のことについては楽観視している。
目前に迫った不安や危機を、悲愴な表情で喧伝しているひとたちを見ると、より一層安心していられる。
狼少年には二通りあって、すなわち、バカかよほどのバカかのどちらかである。
まだしばらくは人類が滅亡することはなさそうだ。そのかぎりでは、鼓腹撃壌の世の中である。
心置き
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