遅れてきた少年の一切合財(その一)/生田 稔
が多いと言う
教条主義はどうにもならない
そんな主義にかぎって矛盾を沢山抱え込んでいる
聖書だつて他のものと相対的に在るものであつて
資本論だって神曲だって神の霊感
ないし影響の基に書かれたに違いない
エリシャは子供の悪戯を呪つて熊をよんだし
エリヤは三年雨が降らないことを祈った
矛盾は聖書にも沢山含まれている
単純に考えてよいことは何もない
こうして私の書いていることも何か差し障り
もあることだろう
だが、自分で好むなら滝にうたれるのも
火の上を歩くのも良かろう
それはその人の甲斐性ではないか
楽しむ者、歓ぶ者には誰も勝てない
あらゆる存在が許されている
尤もと
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