少女と石槍/楢山孝介
 
り飛ばして小川に突き落とした

ヨクは足が立つ川なのに溺れた
あまりの驚きに腰を抜かした少女の前で
セツは石槍を構えていた
それを見たカルムは
少女を助けるために我を忘れ
乳のみ兄弟であるセツを殺そうと
渾身の力を振り絞って石槍を投げた
意気地なしのセツは
やっぱり殺せないと地面にへたり込んだ
セツの頭の上を石槍は通り過ぎ
少女の胸を貫いた

セツは溺れるヨクを助けた後
苦労しながら石槍の先で少女の首を切り
ヨクに持たせ
放心しているカルムを背負った
(俺を狙っていた)
セツはカルムの背信に気付いていた
ヨクは村に帰るまで泣き続けた

以後命知らずな若者
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