怪奇月食/あおば
 
素麺を啜りながら東の空を見た
月消えて
すみそにあんかけうまかろう
そらに女のささやきが
ゴアゴアした風にも油断ができた

すみそにあんかけうまかろう
提灯で電気花火に火をつけた
撥撥跳ねまわる白熱の直線
草の根元の地面は地獄
火事になんかなるものか
ふふんとわらう、ふふんだ

夜が更けて月消えて
暗い夜道を音もなく
少女のなりしてやって来た
幼児を歩かせやって来る
目を合わせたら危ないぞ
奇怪な場所に連れ込まれ
幼児にされて歩かされ
すみそにあんかけ食われるぞ

草臥れて眠いのに
ささ さささ   ささ さささ
うでの付け根を引っ張られ
ささささ
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