Arisaema serratum/
佐々宝砂
、
毒の娘ではない、
娘ですらない、
子をなすことはもちろん、
恋しい人に口づけすることもかなわず、
存在することすらなく、
毒の娘は嘆息する。
存在すらしない、
夢想のうちに語られた毒の娘は、
おのれが生まれ育ったと語られる毒の花園で、
子をなすために虫を殺すArisaema serratum に口づけて、
静かに消えてひととき休む、
またどこかの孤独な男が、
毒の花園に住まう毒の娘を夢想するそのときまで。
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