オンガク/かのこ
 
音楽はときめき
音楽は淋しさ

その肩からちゃんと
体温を
感じられるように
限りなく寄り添っても
埋めることは出来ない
重なっても一つにはなれない
多分一生どうすることも出来ない
この僕の存在自体が淋しさで
そして君の存在自体がときめきだということ

僕はなんにも
手に入れてなんかいない
だから耳を澄まし、目を閉じる
失うことなんか出来ないのさ
息を吸い、両手を思いきりに拡げ
このまま、君を抱きしめにいく格好をする


8歳の女の子は、ピアノを習いたかった
10歳の女の子は、なんでもいいからなにか一つ特技がほしかった
12歳の女の子は、塾通いをやめた
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