寝台車/あおば
成功するとも思えない
顔つなぎと
上司はおっしゃるのだが
帰り道の運転には
自信がない
むろん素面だけれど
機関車が疲れているから
坂の途中で停車してしまうかもしれない
ずらりと連結された寝台車もなく
元気な青年たちも乗っていないから
自動車を押してもらうことも
運転を代わってもらうこともできないと
腹の中で舌打ちした途端
信号が赤になり
急ブレーキを踏むと
21世紀の看板が出ていて
会社の跡地は
立体駐車場になっていて
終日1500円の看板が目に付いた
上司は何処に行ったか分からない
今日の仕事は済んだから
駅の近くのラーメン屋に立ち寄って
売れ残った冷やし中華のお代わりを頼み
電車に乗って帰宅する
帰る家があるから
寝る場所もあるだろうと考えている
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