水色について/Tsu-Yo
*
澄んでいく記憶の端から
水色の汽車が走り出します
ため息や欠伸といった
水によく似たものたちを
揺れる貨車に詰め込んで
透きとおる空の下
滑らかなレールの上
どこまでも
どこまでも
水色の汽車は走っていきます
悲しくないときでも
涙は流れるようです
*
小さな女の子が
水色の目覚まし時計を
右の耳にあてています
長い針と短い針が
ゆっくり
ゆっくりと
廻る場所で
秒針だけが人間みたいです
水色の目覚まし時計からは
小さい生き物の
心臓の音がしました
*
今年も水色の巣箱に
ツバメが帰って来ます
あるいはもう
帰ってきてい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)