[:handle/プテラノドン
 

頭の中で飼っているペット、一匹の魚、を。
 そして、彼もまた眠りにつくまでずっと、泳ぎ回る魚の様子を
ぼんやりと見ているのだろうけど、誰かに盗まれやしないか、
内心ヒヤヒヤだろうけど、レッカー車に引きずられていく車を眺めながら
先人たちは言った。―大切なのは、キャッチ&リリース、と。
「代償さえ払えばすべて済む話じゃないか」
ぼくは運転手にたずねた。「NO!」と犬が吠え、はっと我に返る。
いつのまにか飛び出したぼくの魚が、びちゃびちゃに濡れた枕の上で、
跳ねている。そして、ゴロゴロと、喉を鳴らしながらすり寄ってくる
月を
猫が見上げていた。
誰が飼っているか見当もつかないが、
いまのところは
一安心。







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