旅/なかがわひろか
 
おいしいご飯を食べた

眠る前に女は僕の体を触り始め
僕たちは性行為をして
しばらく話をしてから
眠った

次の朝起きて
この街の名前はどう読むのかと女将に聞いた
女将は怪訝な顔をして
こちらへどうぞと僕たちを違う部屋へ案内した

そこにはこの街の住民であろう人たちが
たくさんいた
昨日駅でよい旅をと言った駅員もいた
一番偉そうな人が
女を指さして
死刑だと言った

周りにいた人たちも
やんややんやと騒ぎ立てた

僕はできる限りの大きな声で
街の名前を読めなかったのは僕ですと言った
街の名前なんか関係ない

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