果て。/有邑空玖
叶わない思いなら、
最初からなければ良かった。
誰にも何にも執着したくない。
水のように生きて、
風のように彷徨って、
森のように其処にいて、
炎のように消えてしまいたいって、
そう思っていたのに。
君がいないと云うだけで酷く広い空。
色のない世界。
音のない町。
こんなにも苦しいなんて、
神様は酷いひとだ。
美しい歌も景色も意味がない。
存在している意義すら見失ってしまいそうだよ。
それともそんなものは最初からなかった?
神様は意地悪だ。
徒に人生を交差させないで。
擦れ違うだけで良かったのに。
何を見ても君を思い出してしまうのなら、
こんな目なんかいらない。
君がいないこの町で、
何を探せば良いんだろ。
祈りの果てに、
微かにでも光があると云うのだろうか。
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