夜めぐる夜 ?/木立 悟
髪と声をほどきひもとき
あなたから生まれ出るものを
得ることなく得ようとしている
羽と鱗が 同じもののようにまたたく
夕日と虹といかづちを
分けることができないまま
歩みはばたき 上へ上へ
空の焦土の さらに上へ
こだまが 壁よりも数多く
野と街の境に立ち並ぶ
響きと響きに護られた扉が
泣きつづける人を招き入れる
宝石の子が生まれ
空の一点から振り撒かれ
あるものは積もり あるものは燃え
原を巻き取り 原を創る
液体が筒をすぎるたび
痛みはより大きな洞をゆく
人工の光と恐れの色を
舌の奥で捕りつづける網
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