秋風の朝/風音
 
ゆめのなかでさえ

あのひとは後ろ姿で

いつだって

後ろ姿で

ゆめのなかでさえ

好きとはいえなかった

あのひとの抱きしめたぬいぐるみを
大切に抱きしめて

ぬるいお茶を飲む

秋の朝風は
わたしに
「忘れなさい」と囁いた。

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