秋風の朝/
風音
ゆめのなかでさえ
あのひとは後ろ姿で
いつだって
後ろ姿で
ゆめのなかでさえ
好きとはいえなかった
あのひとの抱きしめたぬいぐるみを
大切に抱きしめて
ぬるいお茶を飲む
秋の朝風は
わたしに
「忘れなさい」と囁いた。
戻る
編
削
Point
(4)