夜の鳩/足立和夫
 
無数のひび割れた青空の目のなかから
たえまなく降りてくる風の淀むところに
ふるぼけたダンボール箱が積まれている

いつしか鳩たちがすみはじめた

傘もささず
棒のような日日が
確かに過ぎていく

若わかしく発芽する確信が
すりへっていく

知ることもなく
感じることもない孤独
箱のなかの夜たち

朝 謎のような舗石に足をつき
空の割れ目に戻れないわけに
首を傾げる

鳩の不用意な生涯は
あなたでもあり
わたしでもある

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