おやすみ、金魚/朽木 裕
さようならに染まる夜の向こうに君はいて
こっちとあっちでチクタク秒針
多分 君はもう寝てる
その頃 私は浴室で現在未来を考える
今日生きていた 明日も生きていたいって
シャワーの中で呼吸をしながら
消えた金魚のことを想う
知らないうちに居なくなってた
気付いたら9―2匹になってた
多分 君はどこかの土の中に眠る
いつも名前つけられなくてごめんな
命に名前がつけられないなんて無責任かな
黒髪から落ちる雫に呼応して
ぱしゃん、と波紋
残る命は果たして2匹の葬いをしただろうか
夜の中 泳ぐ命
どうか明日も生きていて
希いをこめて呟く
おやすみ、金魚
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