ATM/悠詩
 
にスチール棚に集配箱
少し気になっていたポスターの女の子
もう会えなくなった
挨拶も告げずにいなくなった
テレビに伝言託すなんて卑怯だよ

吐き出して
吐き出して

郵便物窓口の女性係員
赤い頬が初々しい
お客さんが来ない時には
フロアの気配りに夢を咲かせる
ポットを置きたいなんて思っていたりして
健気さに目を瞑る
時計が逆に回った

自動ドアの向こうに
ATMに群がる客の列
回転率に目が回る
ガラスを隔てた相対性理論
逃げ出した螺子を拾うのが億劫で
どうして螺子が逃げたのか不思議で
螺子がついていたことが不可思議で


いつはめたんだろうね

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